ビジネスシーンやプライベートで、何かを「すぐやる!」ことを求められる場面があります。
しかし、理由をつけて後回しにしたり、切羽詰まらないとできない-そんな人も多いはず。
そこで今回は「すぐやる!」人間になるための「『行動力』を高める”科学的な”方法」をご紹介します。
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一般的に、「すぐやらない」原因を、性格や、やる気に求めがち
よく「切羽詰まらないとできないタイプ」などと言いますが、はっきり言うと、性格や、やる気は関係ありません。
原因は、自分の脳を、自ら「すぐやらない」モードにさせているだけなんです。
脳の仕組みや性質を知り、脳に入る情報を変えるだけで、「すぐやる!」自分になれます。
脳に入る情報をコントロールするって、どういうことか
リハビリの現場すなわち、脳の損傷によってできなくなった思考や動作を改善する作業などでは、ちょっとしたことで「すぐやらない」が「すぐやる!」に変わる場面に遭遇します。
ある女性の患者さんは、神経の損傷によって、なかなか食事を取ることができず、職員が付きっきりで介助していました。
患者さんご自身もイライラしていたし、食事の時間が長くなるため、職員の手が足りなくなり、ほかの患者さんの対応が遅れる状況にもなっていました。
そこで、解決のために、ある仮説を立てたんです。「視覚情報の処理が過多となり、混乱している」と。
その仮説のもと、一度に出していた食事を、一品ずつ出すようにしました。まるでコース料理のように。
そうしたら、すぐに食べられるようになり、ちゃんと食事を取れるようになりました。
このように、脳に入る情報をコントロールすることで、脳を「すぐやる!」モードにさせることができます。
すると脳は、体に向けて的確に指示が送れるようになり、行動も変化していきます。
これはリハビリの現場だけの話ではないのです。
行動を変化させる鍵は「脳」にある。
いつも皆さんに「脳を胃だと思ってください」と言っています。脳は”内臓”です。脳の処理は、胃でいう消化です。負担をかけすぎず、消化能力を高めていけば、ちゃんと機能する。
逆に暴飲暴食は消化不良を起こします。
脳でいえば、必要のない情報をたくさん与えることで、胃の消化不良と同じような機能不全になってしまいます。
なので、脳が疲れないように、情報量をコントロールして、なるべく省エネにすることが、やるべきことに注力するために大切です。
ポイントは、何かすぐやるべきことがある時には「極力、日常を変えない」こと。同じような服装、同じような朝ご飯、出勤から退勤までの同じような仕事スタイルなど……。
日常生活をルーティン化する(=一定の手順にする)省エネ戦略が、脳を「すぐやる!」状態に保つ秘訣です。
脳だけは無限に働いてくれると思っている人もいると思いますが、内臓と同じなので疲れもし
ます。特別扱いせず、いたわってあげてください。
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「すぐやる!」ようになるため、手軽にできること
「視覚情報を減らす」ことが一番です。
例えば、何かの作業をする時、机の上には作業に必要なもの以外は出さないこと。
視界には多くのものが入っていて、たとえ気にしていなくても、それらは全て脳で処理されています。視界の端にちょっとだけ入ったパソコンのモニターとかでもです。
食事中にテレビ、パソコンを見ながらスマホ-これらをやめるだけで、脳はすっきり、やるべきことに集中できる自分に変わります。
食事なら食事、パソコンならパソコンのみに集中するわけです。
「動作の区切りを変える」ことも大切
一仕事終えて、「よし終わった。ああ疲れた」と思った瞬開か動作の区切りです。この区切りを変えるだけで、行動が変化します。
例えば、ご飯を食べ終えて、お皿を流し台に持っていく。
「洗わないと」と思いながら、その場を立ち去る。
そうすると、ここまでが区切りになって、脳はその後の洗うという動作を始めるのに、すごい労力を使うんです。だから洗うのが面倒になって、そのまま放置してしまう。
であれば、お皿を流し台に置いて、すぐに1枚だけ洗ってみる。区切りをずらします。すると、脳は違和感を感じて、「まだ区切りじゃないから、そのまま作業続行!」と継続の指示を出してくれます。
ちょっとしたことで、自分の行動は変えられるんですね。実践してみたくなりました!
「すぐやる!」と聞くと、気合とか、精神論を持ち出しがちになってしまいます。
それが大切な時もありますが、脳と体の関係を知り、ちょっとした工夫で行動力を高めることができるのです。
科学的なメソッド(方法)に基づいて、自分の脳を「すぐやる!」ように仕向ける。そうすれば、行動が変わります。行動が変われば、生き方が変わります。
「すぐやる!」は、人生を充実させる最高の手段なのです。
人生を充実させる3つのキーワード
ハーフタスクを心掛ける
心機一転したい時、人は新しい物を身に着けたりする。
しかし、脳にとっては「新しい物=新しい情報」。
予測できない情報が多くなり、結果、いつものパフォーマンスが発揮しにくくなる。
逆に、いつもと変わらない状況で単調すぎると脳は退屈してしまい、ここぞという時、やる気を出しにくい。
そこで、新しさと、いつものルーティンを、50%ずつにする。
これが「ハーフタスク」だ。初めて会う人といつもの場所に行くと
か、いつもの人たちと新しい場所に行ってみるという感じに。
そうすると脳は活性化し、勝手にやる気になってくれる。
触覚を大切にする
「触覚」は五感の中でも特異な感覚だ。
目を閉じれば何も見えないし、耳をふさげば何も聞こえない。
しかし、どこにも触れないで生きることはできない。
視覚や聴覚だけでは、ストレスを感じて”やらないという行動”になる場面でも、触覚から届けられたリアルな情報によって脳は活性化され、”やるという行動”が生み出される。
ある主婦は、手が汚れるのが嫌で、スプーンを使って肉をこねていた。いつも料理は面倒だと思っていたのが、手を”汚して”料理を作るようになったところ、今では自分で魚をさばくまでになったというから驚きだ。
経験的な言葉を使う
耳から入る情報の中で最も大切なのが、自分自身が発する「経験的な言葉」。
こんな経験はないだろうか。後輩が仕事の相談に来た。うまくいった時の自分の体験談を話すと後輩は納得して帰っていった。すると、自分も自然とやる気が起こり、仕事がどんどん片付いた。
これは、経験を言葉で表すことで、脳内で情報が集約されて記憶された状態。情報が整理されたことで、脳が指示を出しやすくなったといえる。
日常の中で経験的な言葉を使うのにうってつけなのは雑談。
一見無駄と思える雑談が、実は行動力を高めてくれる。