みなさんは、いつ、どこで、どのようなコーヒーを飲んでいるでしょうか。苦いのは苦手だから砂糖を入れて甘くしてという人、お気に入りの豆を自分でドリップして飲むのが一番というこだわり派、休憩時の時の缶コーヒーに癒されるなど、その好みは様々でしょう。
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コーヒーの味というのは、苦みや酸味が多くを占めています。これらはもともと、美味しさを感じる味ではありません。それを美味しく飲むためには、経験と学習が必要になります。また、社会的な流行にも左右されます。様々の物を飲んでいるうちに、その美味しさという物を自分なりに育てていくわけです。
深煎りは苦みやコク 浅煎りは多様な香り
コーヒーにはまっている立場から一つ提案すると、美味しいと言われているコーヒー店でいろいろと飲んでみて、自分の好みを探してみてはいかかでしょうか。例えば、日本の喫茶店に多い深煎りコーヒーは苦みとコクが特徴ですし、逆に、浅煎りコーヒーには豊かな香りを感じられるはずです。
コーヒーの果実を収穫し、飲み物としてのコーヒーが出来るまでには、おおまかに4段階の工程があります。コーヒーの果実から生豆をとりだす「精製」、生豆を加熱して香りや色を作り出す「焙煎」、コーヒー豆を挽いて粉状にする「粉砕」、成分を引き出す「抽出」です。このうち、精製については生産国で、焙煎以降が消費地で行われます。
各工程で、どのような方法をとるかによって、コーヒーの味は変化します。味を左右するという意味で、影響が大きいのは「焙煎」でしょう。
一般的に深煎りにすると、苦みやコクが増加します。しかし、焙煎度合いが高くなりすぎると、焦げたような香りや渋み、えぐみが強くなってしまいます。
逆に浅煎りの場合は、苦みやコクはあまり強くなく、酸味や香りにバリエーションが出やすいのが特徴です。キャラメルやナッツのような甘い香りが多く、浅煎りの方が、豆による違いも出やすいと言えるでしょう。
固定観念にとらわれずに色々試そう
日本は1970年代から80年代にかけての喫茶店黄金期に、自家焙煎にこだわったコーヒー店が多くできました。それらの店では、大手コーヒーメーカーが供給していた浅煎りコーヒーと差別化を図る為、深煎りコーヒーを出すようになったのです。この時の影響で、日本では深煎りコーヒーが主流になりました。
一方、当時のアメリカは浅煎りコーヒーが主流です。日本では、お湯で薄めたコーヒーをアメリカンという事がありますが、元々はアメリカで標準的な浅煎りコーヒーを指します。濃くするのには不向きで、必然的に薄い飲み口になりますが、その分、さまざまな香りを楽しむことが出来ます。
実はシアトルで生まれたスターバックスコーヒーは、浅煎りコーヒーに対してのアンチテーゼとして、自家焙煎で深煎りコーヒーを出す店として始まりました。それが、当時のイタリアブームの中、エスプレッソを出すようになり、その後、濃いコーヒーを使ったら手を出して、おしゃれなカフェとして全国に広がって行ったのです。
生豆の持っている特徴によって、深煎りに向いているか、浅煎りに向いているかの違いがあります。それは良しあしというよりは、むしろ個性に近い物です。
一般的に、酸味が強いモカは、その酸味を生かして浅煎りに、逆にマンデリンなどは苦みやコクを生かすために深煎りが行われます。どのような豆を使い、どのように焙煎するか、それぞれの特徴が生きるような洗濯をしているのです。
だだ、この焙煎方法にしても決まったものではありません。昔、東京・吉祥寺にあった喫茶店は、モカを深煎りにして、苦みやコクを生かして人気を博していました。
どのようなコーヒーが美味しいのか最終的には好みの問題です。固定観念にとらわれず、いろいろと試してみることで、コーヒーの世界は広がっていくはずです。