7月は「熱中症予防強化月間」です。
毎年、多くの人が救急搬送される「熱中症」では、亡くなる人も少なくありません。
ここでは、その症状や予防法などについてまとめました。
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室内でも注意が必要
かつては「日射病」などと呼ばれていた「熱中症」は、暑さによって生じる「熱失神」「熱性けいれん」「熱疲労」などの症状の総称です。
総務省消防庁の発表によれば、昨年5月から9月までの、全国における熱中症による救急搬送人員数の累計は5万412人でした。
特に、前年よりも平均気温の高かった西日本、沖縄・奄美で増加の傾向が見られました。
年齢別では、満65歳以上の方が半数を占めており、次いで、満18歳から65歳未満の方、少年、乳幼児の順となっています。
熱中症は、気温だけでなく、湿度なども関係しており、高温多湿な環境に長時間いることで、徐々に体内の水分や塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れ、体温の調節機能がうまく働かなくなります。
その結果、体内に熱がこもり、めまい、体のだるさ、ひどいときには、けいれんや意識の異常など、さまざまな症状が現れるのです。
屋外で起こるイメージが強いですが、就寝中など、室内で発症するケースも多く見られます。
家の中でじっとしていても、温度や湿度が高ければ、熱中症になる場合があります。
晴れている日だけでなく、雨の日でも注意が必要です。
要因は三つある
熱中症を引き起こす要因には①環境②体③行動の三つがあります。
①環境要因
最高気温が30度以上の真夏日が多くなると危険が高まります。
また気温だけでなく、湿度や風速なども影響しています。
これら気温、湿度、風、日射・帽射の気象条件を組み合わせた「暑さ指数(WBGT)」が、予防の指標として用いられています。
②体の要因
体温調節機能や感覚機能が低下した高齢者、体温調節機能が未発達の乳幼児、糖尿病の持病がある人や高血圧の人などはリスクが高く、熱中症弱者とされています。
③行動の要因
激しい運動や長時間の屋外作業、水分補給ができない状況などは注意が必要です。
マラソンなど屋外のスポーツだけでなく、窓を閉め切った体育館の中で行う卓球やバドミントンなどのスポーツでも注意が必要です。
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典型的な症状は
症状は、軽症であれば「めまい」や「立ちくらみ」のほか、ナトリウムの欠乏による「筋肉痛」や「筋肉の硬直」などです。
中等症になると、「頭痛」や「吐き気」、「倦怠感」や「虚脱感」があります。
それらの症状に加え、「けいれん」や「手足の運動障害」が現れると重症です。
中等症以上であれば病院への搬送が必要になります。
このような症状があり、熱中症が疑われる時は、エアコンが効いている室内など、涼しい場所に移動する、衣服をゆるめるなどし、体を冷却する、水分と塩分を補給する、医療機関へ搬送するなど、適切な処置を行ってください。
体を冷やす際は、体表近くに太い静脈のある場所を冷やすのが効果的です。
脇の下や太もものつけ根の鼠径部などに、保冷剤や冷えたペットボトルをタオルにくるんで当てるとよいでしょう。
また、水分と塩分を補給するときに最適なのが、「経口補水液」や「スポーツドリンク」です。
食塩水(水1㍑に1~2㌘の食塩)でも有効です。
ただし、意識障害があるときには、誤って水分が気道に流れ込む可能性があるので、無理に飲ませてはいけません。
日常生活でできる工失
熱中症で大切なのは、何よりも予防です。
適切な予防法を知っていれば防ぐことができるのです。
次に日常生活でできる工夫などを紹介します。
①住まいのエ夫
エアコンを適切な温度となるように設定します。
その際、扇風機などと組み合わせて、冷気が長時間、直接当たらないようにしましょう。
冷気は部屋の低い所にたまりやすいことも知っておいてください。
また、就寝前には、早めにエアコンのスイッチを入れておくことで、部屋全体が冷えます。
「ブラインド」や「すだれ」「カーテン」などを使い、日射を遮ることも有効です。
気化熱を利用する打ち水なども効果があります。
②衣服のエ夫
炎天下では、輻射熱を吸収する黒色系の素材を避けるようにします。
また襟元をゆるめたり、ゆったりした衣服で通気をよくします。
日傘や帽子も活用するとよいでしょう。帽子は、時々脱いで汗の蒸発を促すようにしてください。
③小まめな水分補給
小まめな水分補給を欠かさないようにしましょう。
喉が渇く前や暑い場所に移動する前に補給しておくことが大切です。
その際、アルコールは尿の量を増やしてしまいますので避けてください。
水分補給量としては、1日あたり約1.2㍑が目安になります。
大量に汗をかいた時は塩分も忘れずに補給してください。