後を絶たない消費者トラブル。
悪質商法や詐欺の手口は巧妙化しており、
電話やインターネットなど
さまざまなことをきっかけに、
誰もが被害に遭う恐れがあります。
そこで、今回は特に中高年世代に多い
トラブルの傾向と対処法についてご紹介します。
知っておこう悪質な手口
20107年度に消費生活ゼンターなどに
寄せられたトラブル相談は、
約 93万7000件に上りました。
この中には、被害に遭ったものもあれば、
消費者が契約内容をよく理解して
いなかったために不利益を受けた
ケ-スも含まれています。
これらの相談は、60代以上が
4割近くを占めており、
多くの高齢者がトラブルに
見舞われていることが分かります。
50代も近年は増加傾向にあり、
40代や30代も、それぞれ1割ほど
相談件数があるため、
全世代でトラブルに遭っているといえます。
トラブルの内容として、「架空請求求」は
16年度に比べ2倍以上増えており、
特に注意が必要です。
また、高齢者が詐欺に遭う場合、
「お金」「健康」「孤独」という三つの
大きな不安につけ込まれる傾向があります。
悪質業者は言葉巧みにこれらの不安をあおり、
親切に接して信頼を得て、
年金や貯蓄などの財産を狙ってくるのです。
高齢者は在宅していることが多いことから、
電話勧誘での販売や、家庭への訪問販売の
被害に遭いやすい特徴があります。
「誰でもだまされる」との認識を
慌てず信頼できる人に相談
詐欺や悪質商法の手口は数限りない上、
日々、巧妙になっています。
そのため、「誰でもだまされる」という
認識を持つことが大切です。
〝私は大丈夫”〝うちにはお金がない″
といった油断や隙があると、
思いがけず引っ掛かってしまうのです。
詐欺の被害に遭った人の特徴として、
どうしても慌ててしまい、
急いで銀行口座に振り込んでしまった。
あるいは、現金で渡してしまった
ということが挙げられます。
そのため、お金の出し入れが
発生することになったら、
一呼吸置いて
「冷静になってみる」
「信頼できる人に相談してみる」
ことが大切です。
そうすれば、ほとんどの人が
被害に遭わずに済むでしょう。
自宅の固定電話に
録音機を取り付けることや、
留守電の設定にしておくのも効果的です。
困った時は消費者ホトッライン188に
紹介している事例の他にも、
「健康食品のお試し購入のはずが、
高額料金で2回、3回と送られ、
定期購入になった」など、
困ったことがあれば、
消費者ホットライン「188」番に
電話するといいでしょう。
最寄りの消費生活センターなどの
相談窓口を案内してくれます。
年末年始を除き、原則は毎日、利用が可能。
受け付けの曜日や時間帯は、
消費生活相談窓口によって異なります。
大切なのは一人で悩まず、
すぐに相談することです。
通話料はかかりますが、
相談は無料ですので、
安心して利用してください。
架空請求は無視が基本 決して連絡しない
ほぼ全ての世代で上位を
占める被害が、架空請求です。
実際に利用していないのに
「サービスを提供した」
「サイトを利用した」
と称して代金を請求し、
お金をだまし取る手口です。
請求の名目として
「有料サイトの利用料金」や
「コンテンツ利用料金」など、
さまざまなものがあります。
請求の仕方も、
スマートフォン・携帯電話の
ショートメッセージサービス(SMS)や
メール、はがきや封書などです。
「料金が未納です」といったメール本文に、
「法的手続きに移行します」などと
記載されていたり、
はがきに
「消費料金に関する訴訟最終告知のお知らせ」
のような不安をあおる文句が
あったりすると、
どうしても動揺してしまいます。
それに加え、公的機関のような
名称や実在する事業者をかたる場合も
あるなど、非常に手が込んできています。
トラブルを回避する
ポイントとして、
①反応しないで無視する
②決して相手に連絡しない
③不安な時は、
消費者ホットライン(188番)に
聞いてみるといいでしょう。
慌てて業者に連絡すると、
個人情報を取られたり、
「訴訟取り下げ料が必要」
などとウソを言って金銭の
支払いを要求されたりします。
その支払いに応じてしまうと、
さらにトラブルになってしまう
恐れがあります。
支払い方法も多様化しており、
銀行口座への振り込みをはじめ、
コンビニなどを利用して
仮想通貨の取引所へ送金させるものや、
プリペイドカードを購入して
カード番号を通知させるものなど、
多岐にわたるので注意してください。
送りつけ商法は、きっぱり断ろう
注文していない健康食品や
魚介類などの商品を送りつけ、
代金を支払わせる手口です。
事前に電話で勧誘し、
強引に話を進めて商品を送りつけ、
支払いを迫る事例も多数あります。
覚えがないのに
「以前お申し込みいただいた健康食品を、
今から送ります」と
突然電話がかかってきた例や、
受け取りを拒否したことで
事業者から怒りの電話があり、
その恐怖から、
再び商品が送られてきた際に、
しぶしぶ代金を支払って
しまったケースもあります。
また、家族が誰も
頼んでいないのに、
代金引換で商品が届き、
つい支払ってしまった
といった例もあります。
代金引換で商品を購入する場合は、
同居する家族内であらかじめ
共有しておくといいでしょう。
商品と一緒に現金書留封筒を
同封して送りつけ、その後、
電話で代金の郵送を促す手口もあります。
こうした送りつけ商法を防ぐには、
申し込んだ覚えがなく、
購入するつもりもなければ、
きっぱりと断ることが大切です。
また、注文していない商品が
届いた場合は、宅配事業者に
受け取らない旨を伝え、
拒否してください。
中には、クーリングーオフが
できるケースもあるので、
早めに消費生活センターなどに
相談しましょう。
住宅の点検商法 複数の事業者から見積もりを
住宅の点検商法とは、
「無料で点検します」
「外壁が傷んでいるようなので点検しましょうか」
と言って訪問。
点検の後、
「放置しておくと大変なことになる」
「すぐに工事した方がいいです」
などと住人の不安をあおり、
高額のサービスを契約させたり、
リフォームを促されたりする手口です。
屋根や床下、配水管など、
住人が簡単には確認できない部分は
判断が難しいため、どうしても、
事業者に言われるままに
契約してしまいがちです。
「無料で点検」と
訪問してくる事業者は、
応対しない方が賢明です。
中には、自治体関係者を
名乗ることもありますが、
その際は、自治体に確認しましょう。
また事業者から契約を
急がされても冷静に判断し、
その場では契約せず、
複数の事業者から見積もりを取り、
比較・検討することをお勧めします。
還付金詐欺 自治体職員はATM操作を指示しない
高額のお金を
だまし取られてしまう還付金詐欺。
国民生活センターに寄せられる
還付金詐欺の相談の大半が
60歳以上の高齢者で、
これから年末にかけて、
特に注意が必要です。
還付金詐欺とは、
自治体や金融機関の職員を名乗り、
「健康保険料を返金する」
「医療費の払い戻しがある」
「税金の還作がある」などと言い、
受取手続きのためにATM
(現金自動預払機)に誘導。
実際に、振り込みをさせて
お金をだまし取る手口です。
まず心したいのは、
自治体や金融機関などの職員が、
ATMの操作を電話で指示することは
「絶対にない」ということです。
もし、そうした電話が
かかってきたら詐欺です。
還付金に心当たりが
ある場合でもすぐにATMに行かず、
自治体の関係部署に
電話して確認してみましょう。
光回線サービスは契約内容を理解し、比較・検討
比較的、中高年世代に多い
トラブルの一つとして、
光回線サービスの卸売り
(光コラボレーション)に
関するトラブルがあります。
NTT東日本とNTT西日本は、
光回線サービスの卸売りをしており、
その卸売りを受けた事業者も
光回線を提供しています。
その事業者は、消費者に、
光回線とさまざまなサービスを
組み合わせて販売しています。
NTT東西からこれらの事業者に
契約を乗り換える際には、
NTT東西との光回線の契約は
なくなるので注意してください。
消費者が十分に理解しないまま
契約したことで、
「サービスの変更だと思ったら、
別業者との契約になった」
「料金が安くなると言われたのに、
以前より高くなった」
といったケースがあるのです。
トラブル回避のポイントとして、
契約する事業者名とサービス名、
月額料金やオプションサービス、
解約料などを正確に
理解する必要があります。
勧誘されてもすぐには契約せず、
今の契約と新しい契約の内容を
十分に比較し、検討した上で、
必要なければ、きっぱりと断りましょう。
なお、光回線の契約は、
契約書面が届いた日を初日とした
8日間以内に解約する旨の書面を出せば、
違約金が発生せずに解約できます。
ただし、事務手数料や工事費、
すでに利用したサービス料は
支払う必要があります。