近年、100歳を超える「百寿者」の数が増えたことで
長寿の生活習慣が明らかになりつつあります。
そこで、こちらでは元気なシニアに多い、
健康寿命を延ばす効果が期待できる習慣を
ご紹介したいと思います。
長寿者の知恵に学ぼう
健康で長寿な人の生活習慣を調べると、
「人間は習慣の生き物である」ということ
をつくづく感じます。
厚生労働省によると、
日本人の平均寿命は女性が87歳、
男性が81歳ほど。
介護などが要らない「健康寿命」との差は、
女性が約12年、男性が約9年で、こ
の差を縮めることが課題のようです。
ただ、これは統計上の話。
今や、100歳以上は全国で7万人近くとなり、
健やかに過ごしている人も少なくありません。
こうした健康長寿につながる要因は、
遺伝よりも生活習慣によるものが大きいと
分かってきたのです。
百寿者に共通する習慣は、
古くから「体に良い」と伝わるものが多く、
聞いたことのある人もいるはず。
しかし、習慣化できているかどうかは本人次第。
健康に天寿を全うするためにも、
長寿の知恵を取り入れてみてください。
肉より魚
まずは、食べ物について。
動物性タンパク質の摂取は、
肉より魚を中心に。魚に含まれる
EPA(エイコサペンタエン酸)と
DHA(ドコサヘキサエン酸)
によって脂肪が付きにくくなり、
動脈硬化が抑えられるからです。
最近、高齢者に″肉食″を勧める話もありますが、
肉の摂取不足が問題だったのは約50年前のこと。
現在は、肉の取り過ぎでコレステロールを
増やしてしまう場合もあるので注意しましょう。
肉もいいけれど、
週の半分程度は青魚などがオススメです。
加えて、緑黄色野菜をよく食べる地域は長寿者が多く、
塩分をよく取る地域は脳卒中や胃がんの発症率が
高いのも留意したい点です。
食習慣の改善に生かしましょう。
腹八分目
食事は、食べ過ぎないように「腹八分目」が重要。
健康長寿との関係では脂肪の取り過ぎを防ぎ、
内臓脂肪を付きにくくするのが狙いです。
内臓脂肪が多いと問題なのは、
血糖値の上昇や動脈硬化の促進、
脳梗塞や心筋梗塞の発症率が高まること。
がんや認知症などにつながりやすい
ことも分かってきました。
脂肪には、内臓脂肪と皮下脂肪がありますが、
日本人が欧米人より体質的に付きやすいのは、
内臓脂肪の方です。
″メタボ″といわれるおなかが典型的で、
女性より男性がなりやすいといいます。
また、百寿者の血液には、
糖尿病を防ぐ「アディポネクチン」
という物質が多い傾向も明らかに。
肥満になると、その分泌量が減るので、
余分な内臓脂肪を付けないことが
鍵といえそうです。
とはいえ、むしろ暑い夏は食欲低下が
心配な人もいるでしょう。
しかし、そうした夏バテの主な原因は、
食欲低下ではなく「屋内外の気温差」
による自律神経の乱れ。
夏は体内のカロリー消費が少ないため、
食が細くなるのは体の自然な仕組みなのです。
水分補給で脱水を防ぎ、
ビタミンとミネラルを摂取して
食欲の秋を待つのが、
体との上手な付き合い方。
高齢者は季節による食欲の変化が大きいので、
家族や周囲も心配し過ぎないでください。
食物繊維
病気を予防して長生きするには、
腸内環境を整えて免疫機能を
高めるのも大切です。
かつて、日本人は大腸がんに
なりにくい傾向でしたが、
伝統的な和食で食物繊維を
多く取っていたことが良かったと
考えられています。
大腸がんの人が増えた今、
食物繊維の多い玄米や麦飯の良さを見直し、
白米に混ぜて食べてもいいです。
高齢者が食べやすい、
キノコや海藻にも豊富なのでオススメです。
ただし、体調不良などで、
″胃に優しい食事″が必要なら要注意。
食物繊維は消化に時間かかかるので刻んだり、
よくかんだり、
回復するまで控えるのも賢明な判断です。
運動と心
糖尿病や高血圧などの生活習慣病や
認知症の予防には、
「有酸素運動」が有効です。
代表的なのはウオーキングや
ジョギング、水泳など。
一日30分、週5日以上続ければ、
内臓脂肪が燃えて病気の予防や
改善につながるのです。
高齢者なら、
運動は少し息が弾む程度でよく、
若い人と同じ速さでなくても効果的。
歩いて足腰が強くなれば転倒予防になり、
心臓や肺などの機能も高まります。
足腰の筋力を鍛えようと、
運動習慣のない人が急に
「筋トレ」を始めるとケガをする場合もあり、
有酸素運動から始めるといいでしょう。
また脳の認知機能を鍛えるには、
単純作業による脳トレよりも、
「本を読む」「絵を描く」「人に会う」などして
好奇心を刺激する方が効果的との研究結果もあります。
年齢を重ねることを前向きに捉える人は、
認知症になりにくいともいいます。
そんな″加齢を楽しめる人″が
健康長寿になるのだと思います。