IoTの進展とサイバー攻撃

身の回りのさまざまなモノをインターネットに接続する「IoT(Internet of Thingsの略でモノのインターネット)」。

政府の成長戦略の柱である第4次産業革命の実現に不可欠な最先端技術の1つであるが、loTを標的にしたサイバー攻撃が急増しており、安全対策が急務の課題となっている。

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暮らしや産業に大きなメリット

従来の情報通信技術(ICT)では、インターネットに接続されているのはパソコンやスマートフォンなどの機器に限られていた。

一方で、テレビやカメラ、冷蔵庫、エアコン、自動車といった身近な製品に加え、エ場の工作機械やエ事現場の重機など、ありとあらゆるモノをインターネットにつなげるのがloTである。

これにより、さまざまなモノから日常の幅広い分野の情報をリアルタイムで取得できるようになる。

収集された情報は、生活の利便性の向上や課題解決のために分析され、活用される。

これを可能にするのがセンサー(検知器)だ。

センサーには温度や湿度、気圧を感知するものや、人の動きに反応する人感センサーなどがある。

ネット接続、幅広い分野に拡大身近な機器がウイルス送信元に

loTでは、モノにセンサーを取り付けることで、

①モノから情報を取得
②インターネットを経由して情報をクラウド(大量のデータを保存できるネット上の領域)に送信
③グラウトに蓄積された情報を分析
④分析結果をモノの動作に反映
-といったサイクルで情報活用が行える【図参照】。

例えば、各自動車メーカーが開発を進める自動運転では、車に搭載したセンサーで信号や歩行者などを認知。

新たな路線の開設や道路工事などの最新情報も走行しながらネットを通じて収集している。

また、工作機械に振動を感知するセンサーを取り付ければ稼働状況の把握が可能になる。
異常な振動値の計測は機械の故障予知につながる。

狙われやすい無線ネットワーク

インターネットにつながったloT製品は日々増え続けている。

世界最大のコンピューターネットワーク機器開発会社「シスコ」(本社は米国カリフォルニア州)の推計によると、2015年時点で世界のloT製品の数は約250億個に上り、20年には500億個を超えると予測している。

loT製品が急増している背景として、スマートフォンやタブレットの普及により、無線でインターネットに簡単に接続できるようになったことがある。

実際、loT製品のほとんどは無線でインターネットにつながれており、これにより、遠く離れた場所にあるモノを遠隔で監視し、操作できる。

しかし、ファイヤーウォールなどで外部からの不正アクセスやサイバー攻撃などを防ぐ対策が施されている屋内の有線ネットワークに比べると、無線ネットワークの安全対策は、まだ不十分である。

そのため、loTのネットワークを狙ったサイバー攻撃が世界中で拡大している。

特に、原子力発電所や変電所などの設備をインターネットに接続し、稼働状況のデータを収集することで効率的な維持管理を実現したり、設備を遠隔操作で制御できる「インダストリアルIoT」と呼ばれるシステムを狙ったサイバー攻撃が近年、顕著である。

15年にはウクライナの電力会社がサイバー攻撃を受け、変電所を遠隔で制御するシステムがマルウエア(ウイルスなどを含む悪意のあるソフトウエア)に感染。23の変電所の配線用遮断器(ブレーカ山が落ちて、大規模停電が発生した。

今年に入ってからも、4月にドイツの原子力発電所の核燃料棒の状態を、インターネットに接続して監視するコンピューターシステムからマルウエアが見つかった。

日本も人ごとではない。横浜国立大学の吉岡克成准教授が15年4月から7月まで行った調査によると、同大学に送られてきたマルウエアの回数は90万回に及んだという。

マルウエアの送信元を調べたところ、監視カメラや火災報知システムなど、インターネットにつなかった361種類のモノであった。

これらのモノがネットを通じて、ウイルスに感染していたためだ。

安全対策の強化へ政府も本腰 こうした状況を踏まえ、政府はloTの安全対策に本腰を入れ始めている。

内閣サイバーセキュリティセンターは8月、「安全なloTシステムのためのセキュリテイに関する一般的枠組」をまとめ、loTシステムの設計、構築、運用の際には、セキュリティーを事前に考慮するよう求めている。

記事下

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