経営不振にあえぐシャープが台湾の大手電子機器メーカー「ホンハイ精密工業」
と優先的に交渉すると発表し、台湾資本の傘下で再建を目指すことが濃厚となりました。
これまで、国と民間が作る官民ファンド「産業革新機構」と、「ホンハイ精密工業」
から再建策の提案を受けていましたが、「ホンハイ」が支援内容を大幅に上積みした為、
「ホンハイ」に傾いた様です。
「ホンハイ」が示した提案とは、
・主力銀行であるみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行に対して金融支援は求めない。
・シャープの事業をそのまま残す。
・雇用やブランドを維持する。
・いまの経営陣には退任を求めない。
との内容です。
「ホンハイ精密工業」は、1974年に創業した台湾の電子機器メーカーで、
売上は約15兆円と電子機器の受託メーカーとしては世界最大です。
それだけの企業なのにあまりなじみがないのは、自社ブランドの製品を生産していない
ためで、実は日本、アメリカなど世界各国の電機メーカーから、テレビやパソコン、
ゲーム機などさまざまな電子機器の生産を一手に請け負っています。
アメリカのIT企業「アップル」のスマートフォン「iPhone」や、「ソフトバンク」
が発売した人型ロボットも、生産しているのはこの会社です。
過去には、ホンハイは液晶の開発技術などを手に入れようと、平成24年に「シャープ」に
対して出資を行う提案をしましたが、株式の取得価格や技術供与などで両社の折り合いが
つかず白紙となった経緯があります。
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もし、「シャープ」が「ホンハイ」傘下で再建することが決定したら、「ホンハイ」と
しては長年の念願が叶うということになります。
しかし、「シャープ」が「ホンハイ」に買収されるということに対しては
大丈夫かという懸念は拭えません。
台湾企業というと聞こえはいいような気がしますが、現在の台湾の経済構造を考えると
「ホンハイ」が中国と密接な関係にあることは間違えないところです。
そもそも、「シャープ」が経営不振に陥ったのは経営陣の見通しの甘さからです。
なのに、身を切る改革もせず、うまい話に安易に乗ってしまうのは、また見通しが
甘すぎるのではないかと思ってしまいます。
うまい話には裏があるとしか思えないですし、さらに中国が絡んでいるとなれば
なおさらのことです。
どうなるか今後の展開を見守りたいです。