新型コロナウイルスの脅威を前に、あらためて免疫力を高める重要性が再確認されています。
そこで今回は、免疫力を高める生活の工夫についてご紹介します。
病気の原因となる”敵”と戦う
免疫とは、病気の原因となる”敵”と戦ってくれる働きの総称です。
免疫には、生まれながらに体に備わっている「自然免疫」と、特定の病原体に感染し後天的に得られる「獲得免疫」があります。
獲得免疫ができるときには、ブレーキ役の免疫が一定の割合でつくられます。
つまり、免疫には「攻撃をする免疫」と「ブレーキを掛ける免疫」があり、そのバランスが崩れると、さまざまな疾患になります。
逆に、このバランスを改善してあげることで、がんや高血圧、糖尿病、うつ、心筋梗塞、認知症、アレルギーなど、病気の改善や予防につながることが分かってきました。
新型コロナウイルスの対策としても、免疫力を上げることが最重要。
感染する人としない入、重症化する人としない人の差は、免疫力の差にあると言っても過言ではありません。
また、口、鼻、目、耳などの粘膜を保護することも心掛けましょう。
粘膜には粘膜免疫があります。
例えば、唾液の中にはIgAという抗体があり、細菌やウイルスと結合して体外に流したり、侵入してしまった場合には免疫の攻撃を受けやすくしたりする働きがあります。
なので、ドライマウスやドライアイは、絶対に避けたいところです。
歯磨きをするときのポイントは?
歯磨きは、タイミングが重要。
まずは「朝食の前」にする習慣を付けましょう。
口腔内の菌が増えると、歯周病などの原因になるだけではありません。
糖尿病や高血圧、動脈硬化など、さまざまな病気の引き金になります。
免疫のバランスを崩し、免疫が異常反応を起こすこともあります。
寝ている時には唾液の分泌が止まり、IgAの働きが弱るため、口腔内の菌は繁殖しています。
そのまま飲み込んでしまうのはNG。
最低でも一日2回、「朝食の前」と「就寝の前」に磨くことが重要です。
免疫を高めるデザートとは?
ヨーグルトは、腸内環境を整え免疫力を高めるため、ぜひ食べたいデザート。
ただ、食べるタイミングは、「朝食後」ではなく「夕食後」。
腸の働きが最も活発になる時間は午後10時~午前2時。
この時に、腸を整える後押しをしてくれます。
果物の食べ過ぎは注意が必要。果糖が多いため肥満になりやすく、バナナやパイナップルなど体を冷やす性質があるものも。
肥満や体の冷えは、免疫力を下げる原因になってしまうのです。
果物では、リンゴがオススメ。
「リンゴポリフェノール」という特有の抗酸化力があり、免疫細胞を活性化してくれます。
特に皮の近くに有効成分が含まれています。
いずれにしても、果物は適量を。
目安は、成人で一日150グラム程度。
リンゴなら1/2個、ミカンは中2個、イチゴなら10粒程度です。
できれば毎日食べたい食材は?
意識的に摂取してほしいのは、キノコと海藻です。
キノコ類は食物繊維が豊富で、腸内環境を整えられます。
また、ビタミンB1を含んでいるので肥満防止にも役立ち、豊富なβグルカンが免疫を活性化させます。
海藻は、「フコダイン」と呼ばれる成分が豊富。
免疫力を高める効果が非常に大きいので、毎日取りたい食材です。
このほか、野菜や発酵食品も、バランスよく取ることが大切です。
肉は、牛よりも、豚か鶏を選ぶようにしましょう。
笑うことは健康に良い?
笑うことで免疫細胞の一つ、NK(ナチュラル・キラー)細胞の働きを高めてくれます。
落語や漫才の番組を治療に取り入れている病院もあるほどです。
また、歌うことも、同様に免疫を活性化させるので、カラオケもいいでしょう。
歌うと大きく口を開けるので、唾液をたくさん出すことになります。
リラックスできる趣味を持つことも大切。
絵を見たり、写真を撮ったり、気の合う人と談話したりして、ストレスを発散させましょう。
また、免疫にとって体力づくりは大切ですが、激し過ぎる運動は要注意。
「適度な運動は免疫力を上げ、過度な運動は免疫力を下げる」ということを知っておいてください。
ウオーキングの場合は、1日7000~8000歩、友達と話しながら歩けるくらいのスピードを目安にしてください。
お風呂の温度と入浴時間は、とれくらいがいい?
40~41度のお風呂に約10分、漬かることをお勧めしています。
この入浴法で、体温は約1度上がります。
体温を1度上げることで、免疫力は5~6倍高くなるといわれています。
一方、体温が1度下がるだけで、免疫力は3~4割も落ちてしまいます。
ぬるいお湯に漬かっていると、体温が下がってしまうので要注意です。
基礎体温を上げることが重要なので、シャワーではなく、入浴でしっかりと体を温める習慣を付けたいものです。
入浴剤などもうまく使用すると、効率よく体温を上げることができます。
寝る時に心掛けるべきことは?
寝るときのポイントは、リラックスした状態で眠ること。
電気は消して、真っ暗な状態がベスト。
明るいままだと、交感神経が刺激されてしまい、緊張した状態で睡眠を取ることになってしまいます。
スマートフォンやタブレットのブルーライトは、質の良い睡眠を妨げてしまいます。
「寝る1時間前からは見ない」「枕元には置かない」など、ルールを決めておくといいでしょう。
また、免疫力が最も高まる午後10時~午前2時の間は、眠りに就いておくことも大事なポイントです。
免疫力が上がる音楽があるというのは本当?
本当です。音楽を聴くことによって、副交感神経が優位になり、リラックスすることで、免疫力が高まります。
特に、科学的な分析によると、「f分の1のゆらぎ」と呼ばれる波動があるものを聴くと、心が安らぎ、免疫力は高まります。
小川のせせらぎや小鳥のさえずり、風や波の音などがそれに当たり、モーツァルトやショパンなどのクラシック音楽にも同様の効果があります。
ちなみに、美空ひばりさん、宇多田ヒカルさん、徳永英明さん、MISIAさんらの歌声にも、同じゆらぎがあるそうです。