花粉症は、体内に侵入した花粉を異物として認識して、
この異物(抗原)に対する抗体を作り、再度侵入した花粉を
排除しようとする「免疫反応」です。
一般的には、免疫反応は体を守る良い反応です。
しかし、反応が過剰になり過ぎると、生活に
支障が生じてしまうのです。
身体にとってマイナスに働いてしまう反応がアレルギーになります。
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花粉が体内に入ってもすぐ花粉症の症状がでるわけではありません。
体の中に花粉が入ると、その花粉(抗原)によってIgE抗体が
形成されます(花粉によって異なる抗体が形成)。
花粉を数年から数十年浴びると、やがて抗体が十分な量になります。
この後、再び花粉が体の中に入ってくると、花粉を排除しようとして、
くしゃみや鼻水などのアレルギー性鼻炎、涙目などのアレルギー性結膜炎の
症状が出るのです。
つらい症状を防ぐために
・外出を控える
スギ花粉は、飛散が始まってから4週間程度が花粉の多い時期に当たります。
特に、晴れて気温が高い日、空気が乾燥して風が強い日、雨上がりの翌日
などが多くなります。
また、ズギ花粉が多くなる時間帯は、その日の気象条件や季節によって変わりますが、
一般的には、昼前後と日没後に多い傾向があります。
これは、気温が上がって午前中にズギ林から飛び出した花粉が数時間後に
都市部に到達するためと、上空に上がった花粉が日没後に地上に落下
してくるためと考えられています。
花粉の飛散が多い日や、飛散の多い時間帯は不要な外出をなるべく
控えることで、症状を抑えることができます。
新聞やテレビ、インターネットの花粉情報サイトなどで飛散量を
確認しましょう。
・掃除の励行
室内に入った花粉は湿気を吸って、すぐに床に落ちてしまいます。
ところが人が歩いたりするたびに、その花粉が舞い上がり、
吸い込んでしまうため、花粉症の症状が出るのです。
そこで室内は、床に落ちた花粉を掃除機やぬれた雑巾で取る、
室内に舞っている花粉は空気清浄機で取ると効果的です。
また、部屋が汚いと、花粉がいたるところに隠れることが
できてしまいます。
整理整頓し、掃除するときは、部屋の中央だけでなく、
四隅や、家具の上などもきれいにするようにしましょう。
カーテンは、気付かないうちに意外と多くの花粉が付いています。
丸洗いできれば理想的ですが、できない場合はカーテンに掃除機を
かけたり、粘着テープなどを使ったりして花粉を取り除きましょう。
・戸や窓を閉める
花粉飛散シーズンに窓を全開にして換気すると、大量の花粉が
室内に流入します。
環境省の「花粉症環境保健マニュアル」によると、
3LDKのマンション1戸で、1時間の換気をする
実験を行った場合、およそ1000万個もの花粉が
屋内に流入したといいます。
花粉の飛散が多いときは、窓や戸を開けず、洗濯物や
布団などを外に干さないことで、症状を抑えることが
期待できます。
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・対策グッズの活用
花粉症の予防と症状の軽減のためには「花粉を浴びないこと」。
外出時、視力の悪い人は、花粉が飛び交う時期は、コンタクトよりも
メガネの方が効果的。
コンタクトレンズを使用していると、花粉がレンズと結膜との間で
こすれる場合があります。
メガネは、横からの花粉の侵入を防げるゴーグルタイプの方が、
より効果があります。
視力に障がいが無い場合、いわゆる”ダテメガネ”でも有効です。
また、マスクは、花粉の侵入を防ぐのに有効。
風の予防、粘膜の乾燥防止にも役立ちます。
装着する際には、鼻と頬にマスクがきちんと密着するように。
長時間着用しても苦しくない、自分に合った素材を選ぶことも大切です。
マスクの外側には花粉が付着するので、使い捨てタイプがお薦めです。
・サラサラした素材の服装
花粉は洋服にも付着します。
表面が、けばけばした毛織物などのコートは着用を避けましょう。
一般的に、ウール製の衣類などは木綿や化繊に比べて花粉が
付着しやすいといわれています。
また、同じ繊維でも、織り方や用途によって、花粉の付着の
程度が大きく異なる場合があります。
「素材による花粉付着率」(東邦大学・佐橋紀男氏の調査)によると、
綿を100とした場合、ウールは980にもなります。
花粉が付きにくい、表面がすべすべした綿か、ポリエステルなどの
サラサラした素材の洋服を着て外出するといいでしょう。
・洗顔、うがい
花粉は、屋内に持ち込まないことが基本です。
衣服についた花粉は、屋内の花粉飛散の原因になるので、
十分にはたいてから、家や会社などに入るようにしましょう。
また、屋内に入ったら、まず手洗いとうがい、洗顔を習慣にする
ことも大事です。
鼻の粘膜には線毛があり、粘膜の上の異物を輸送します。
うがいは、線毛の運動などによって喉に流れた花粉を除去
するのに効果あります。
マスク、メガネはどのくらい効果があるの?
日常生活の中でできる代表的な花粉症対策といえば
「マスク」と「メガネ」。
これらを装着すると、どのくらい効果があるのでしょうか。
日本医科大学大学院の大久保公裕教授らの実験があります。
マスクの装用は、通常のマスクで吸い込む花粉量を3分の1に減らします。
花粉症用マスクの場合は6分の1に減少させ、鼻の症状を軽くする
効果があります。
マスクを付けた時、横に隙間ができると、そこから花粉が入ってしまうので、
顔に合ったもの、また、息をしやすいものを選ぶことが推奨されます。
また、マスクの内側にガーゼを当てること(インナーマスク)で、
鼻に入る花粉がさらに減少することが分かっています。
メガネを装用すると、メガネを使用しない場合に比べて、
結膜に付く花粉はおよそ40%減少します。
防御カバーの付いた花粉症用のメガネでは、およそ65%も
減らすことができます。