骨量は40代以降減る
骨は、他の臓器に比べると目立たず、若い時はあまり意識することもないでしょう。
でも、「骨量」は誰もが20~40歳程度がピークで、その後は穏やかに減少します。
骨量とは、骨の中のカルシウム量のこと。年齢にもよりますが、骨の成分の約70%を占めています。ちなみに「骨密度」とは、単位体積当たりの骨量のことで、骨の強度の目安となるものです。
私たちの骨は古い骨を壊す破骨細胞と、新しい骨を作る骨芽細胞によって新陳代謝を繰り返し、約10年で全ての骨が入れ替わります。閉経後の女性は骨量が急に減ることが明らかですが、その理由は、破骨細胞の働きを抑える女性ホルモンの分泌量が減少するからといわれています。
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女性に限らず、老化による骨量の低下は、転倒などで骨折しやすくなるので要注意。
高齢者が骨折すると、若者に比べて治りにくく、長期間の安静を余儀なくされます。
その際に留意したいのが、体を動かさないことで心身の機能が衰える「廃用症候群」を起こし、寝たきり状態になってしまうこと。これは学術用語で、一般的には「生活不活発病」ともいいます。
普段から連動して転ばないようにするとともに、老化で骨がもろくなる骨粗しょう症などを予防し、転んでも骨折しないケアが大切です。
老け顔の原因に
骨の老化は、骨折のほかに歯周病を引き起こす要因にもなり、65歳以上の約半数が罹患しているといわれます。
歯周病は、歯の周りの歯周組織が炎症している状態で、破骨細胞を活性化させ、歯を支えている骨を溶かします。
その結果、歯が抜けてしまうようなことも。歯が抜けると顔の印象は変わり、老け顔の原因になりかねません。
もちろん、歯周病予防には適切な口腔ケアが重要です。
その上で、あごの骨や頭蓋骨が老化等によって瘦せてしまうと、骨の上の皮膚や筋肉がたるみやすくなるのです。
肌の手入れに励む人は多いと思いますが、例えば、眼窩(目の周りのくぼみ)の骨が痩せると顔にシワやたるみが目立つように、骨の形が変わると容姿も変わることを覚えておくといいですね。
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カルシウムの貯蔵庫
そもそも、骨は何のためにあるのか--誰もがまず思い浮かべるのは、体を物理的に支える役割でしょう。ほかにも、筋肉の力を伝えるテコとしてや、内臓を保護する役割などが挙げられます。
ところが以外と知られていないのが、骨は”カルシウムの貯蔵庫”であること。血液に不可欠なカルシウムの濃度を一定に保つため、食事から取るカルシウムが少ないと、骨を溶かして補うのです。
これは、地球上の生物がカルシウムの豊富な「海」誕生し、進化の過程で、カルシウムの少ない「陸」へと上がっていったことに起因すると考えられています。
つまり、血液にカルシウムが不可欠な生物は、陸上でもそれを携帯する必要があり、骨を発達させたのです。そして、血中カルシウムは最優先事項なので、骨を溶かしてでも維持しようとします。
正しい食事と運動を
骨には迷信や誤解も多いので、惑わされないことです。
例えば、「年を取ると骨が縮む・ゆがむ」。これは、加齢で背骨の骨と骨の間にある「椎間板」の水分が失われ、狭くなった分の背が低くなるから。骨自体が縮むわけではありません。
ゆがむのも「軟骨」がすり減ったためで、骨が曲がったり、ゆがんだりはしません。
さらに「骨折すると骨が太く丈夫になる」というのは、一時的に太くなっただけで、いずれ元の太さに戻ります。
骨と軟骨を健康に保つ秘訣は、適切な食事と運動です。
骨に必要な栄養素はカルシウム、ビタミンD・K・C、タンパク質、マグネシウムなど。バランスよい食事ならば十分に取れています。一般的に日本人不足しがちなのはカルシウムで、牛乳や乳製品などのほかにサプリメント等で補ってもいいでしょう。
また、負荷が大きい運動は体を痛める危険が。高齢者は圧迫骨折や関節を傷つけることもあり、注意が必要です。
大切なことは、骨に繰り返し負荷をかける運動習慣。汗ばむ程度のウオーキングと筋力トレーニングを勧めます。
老化とは「年を重ねること(加齢)」と思う人もいますが、身体機能のピーク後の変化のこと。加齢は誰でも同じですが、老化は生活習慣などによる個人差があります。
40歳を過ぎたら年に1度は「骨検診」を受けて骨の状態を知り、骨によい規則正しい習慣を身に付けましょう。